すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -092/197page
なれない山の仕事に疲(つか)れて、草むらにたおれかかったときもありました。そんなとき、リンは、私は一家の人々の中心なんだ、まだ、私は若いんだから、とまた重い腰(こし)をあげて、山道をいそぐのでした。
ある暑(あつ)い日のことです。ようやく運んできたかますを下ろすと、かますの中の桑(くわ)の葉は、暑さと背中(せなか)の体温(たいおん)にむされて、すっかりしおれきっていました。これでは売り物になりません。
「どうしよう。これでは農家(のうか)の人は買ってくれないだろう。」
今日もみんなに食事をさせなければならないのに、これではお金にならないと思うと、ぼうぜんと立ちすくんでしまいました。空を仰(あお)ぐと、夏の太陽が青空の中に輝(かがや)いていて、眼がチカチカと痛んできます。
「何とか、お金を作らなくてはならない。そうだ、この帯(おぴ)で財布(さいふ)を作れば売れ るかもしれない。」