すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -097/197page
もだんだん豊かになっていきました。しかし、リンの心の中には、あのはげしかった会津の戦争、夫(おっと)とわかれわかれになった生活、戦後の会津の人々のみじめなくらしが、どうしても忘れられませんでした。自分たちの生活が楽になり、にぎやかになっていくとともに、今まで親しんできたふるさとの人々の悲しさが思われてなりません。
保母への道
明治二十一年(1888年)三月、リンは教会(きょうかい)で洗礼(せんれい)をうけて、キリスト教徒(きょうと)になりました。会津藩のもと家老(かろう)、海老名季昌(えぴなすえまさ)のしとやかな妻(つま)が、それまで切支丹(きりしたん)とよばれて迫害(はくがい)をうけていたキリスト教徒に変わっていったのです。リンの一生は、これをきっかけとして大きく変わっていくのです。