すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -102/197page
と、季昌(すえまさ)は立ちあがりました。そのとき、もう寝たとばかり思っていたモトがとびこんできて、
「お父さま、行かないで−。どこにもいかないで、家にいてください。おねがいです〕
と、泣きながら、父にすがりつきました。娘にすがられて、どうしようもなくなった季昌は、大きなためいきとともに、
「いかない。いかないよ。どこへもいかないよ。」
と、娘をしっかり抱(だ)いて、ほおずりするのでした。ー応(いちおう)その夜はおさまったものの季昌のキリスト教反対の考えは変わりませんでした。
翌日(よくじつ)になって、モトは、
「お母さま、キリスト教を信ずるのはやめてください。さもないと、父上に殺されてしまいます。」