すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -103/197page
と、真剣(しんけん)な顔でいいました。
「たとえ父上に殺されても、私は父上やあなたがたのために神に祈(いの)り、神にお願いします。そうした信仰(しんこう)が、この海老名家(えぴなけ)のためにも、この世の中のためにも大切なことなのです。」
と言って、リンもまた、信仰についての自分の考えを変えませんでした。宗教の問題ではその後も家の中でたびたび争いがありました。
東京にいること6年、リンは45歳となり、ふるさとを思う気持ちが強まってきました。
「若松に帰ろう。若松に帰って幼稚園(ようちえん)や女学枚をつくろう。」
リンは夫の季昌(すえまさ)に相談し協カ(きょうりょく)を願いました。季昌も、自分を重く用(もち)いてくれた三島通庸(みしまみちつね)がなくなって、そのころは警視庁(けいしちょう)をやめていたので、会津若松に帰ることに賛成(さんせい)してくれました。