すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -105/197page
「ここで戦争があったんだ。私も家老(かろう)の妻(つま)として、なぎなたをとって戦かおうとしたんだ。頼みにしていた鶴ヶ城、あの天守閣(てんしゅかく)も、もうみあたらない。」
夫(おっと)の季昌(すえまさ)も、同じ思いなのか、しばらく立ちすくんでいます。雲がゆっくりと、南から北へ流れていきます。
「北のはずれ、斗南(となみ)での生活は苦しかった。みじめだった。このふるさとは、あの戦いで傷(きず)つけられた。そこに、私は帰ってきた。私は、このふるさとにつくさねばならない。教育によってしっかりした人物を育てなければならない。なかでも幼児教育(ようじきょういく)と女子教育、三つ児(みつご)の魂(たましい)百までとよくいうが、大切なのは人間の基礎(きそ)の教育だ。そして、その母をつくる女子教育「私は、それをなしとげることによって、このなつかしいふるさとにつくすのだ。」
なつかしさとともに、リンの固(かた)い信念(しんねん)が心の中にだんだんと強まってくるのでした。『人間は6歳までに性格(せいかく)が形づくられる』という幼児教育への思いが、