すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -119/197page

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がひょっこりたずねてきて、

 「五郎ちゃん、面川沢(おもがわざわ)は今がちょうどきのこや栗のさかり、とまりがけでとりにきらんしょ。」

とさそいました。こんな急な話を、母や祖母(そぼ)が許(ゆる)すはずがないと思ったのに、意外にも、

 「藩校(はんこう)も休みになったことだし、五郎、おばさまと行っておいで。」

と母は言いました。これが永久(えいきゅう)の別れになるとは知らずに、五郎はさそわれるままに、いそいそと家をあとにしました。祖母、母、姉、それに7歳の妹までが、これがこの世の別れとなることを知っていて、門の外まで見送りに出たとは、五郎にとって思いもよらぬことでした。母たちは、この日のことをひそかに相談して、せめて五郎一人は柴家のあととりに残すために、きさおばをわざわざ呼んで、安全な面川沢村に行かせたのでした。


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