すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -123/197page
とても無理だとさとされ、やむをえず面川沢(おもがわざわ)へひき返しました。
「母上やお家の方々も、かならずここに来るはずですから。」
と留吉(とめきち)になぐさめられて帰ってはみましたが、逃げてきた人たちが家の内外にあふれている中に、いくらさがしても母たちの姿は見あたりません。
「お家の方々は、後からかならず見えますから。」
となぐさめの言葉をかけてくれる人もあって、昼食をとる気もなく、戸口にたたずんで、ひたすら避難(ひなん)してくる人々の中に母や家族の姿をさがし求めていました。
五郎が、どんなに待っても来るはずのない母たちのことを知ったのは、その日の夕方近くのことでした。
午後3時ごろ、面川村に住んでいる柴清助(しばせいすけ)おじが、ひどくつかれた様子でやって来ました。