すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -130/197page

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 なれぬ航海のため、船よいに苦しみながら下北地方の野辺地港(のへじこう)に着いたのは、lヵ月後の六月なかば過ぎ、五郎が12歳のときです。野辺地は、移住してくる旧会津藩士と、その家族たちを迎える港であり、さらにこの人たちをその先の目的地に出発させるまでの仮(かり)の場所でもあって、大変人の出入りがはげしい所でした。

 父佐多蔵(さたぞう)は、七月末ごろ、会津若松から野辺地へやってきました。しかし、五郎や太一郎兄が、いくら会津のことを聞いても、ろくろく返事もしなくなり、付近の川辺(かわべ)に釣糸(つりいと)をたれて、もの思いにふける日が続きました。

 兄太一郎は、この地に永住(えいじゅう)する覚悟をきめて、同じ会津藩士の娘すみ子を嫁(よめ)にもらいました。

 九月になって、柴一家は安住(あんじゅう)の地を求めて野辺地から田名部(たなぶ)に移り、ここで開拓(かいたく)にはげむことになりました。しかし、ここで不幸な出来事が、またまた柴


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