すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -132/197page
て、少年の五郎にも、これからの生活の困難(こんなん)さが、ひしひしと感じられました。
「とにかくなんとかしなければ。」
父、兄嫁(あによめ)、五郎の3 人がカを合わせて、家の修理(しゅうり)にとりかかりました。床板の穴を板きれでふさぎ、その上にむしろを敷きました。骨ばかりの障子には、米俵(こめだわら)を切り開いて、わら縄(なわ)でしばりつけました。窓をふさいでしまったため、昼でも暗い家になってしまいました。
冬がきました。陸奥湾(むつわん)から吹きつける寒風(かんぷう)は、戸板のすき間から、俵でふさいだ障子の間から、容赦(ようしゃ)なく吹き込んで部屋を吹きぬけていきます。
たき火をしている炉(ろ)ばたでさえも、氷点下10度・15度となってしまいます。たいたかゆも、すぐカチカチに凍(こお)りつくありさまで、これをようやく火にとかしてすすりました。夜はかけるふとんもなく、炉を囲(かこ)んでむしろをかぶってねるのですが、腹の方が温(あたた)かでも、背中はびりびりと寒気を感じ、眠れぬ夜が続