すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -134/197page

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 育(そだ)ち盛(ざか)り、食べ盛りの五郎は、栄養失調と疲労(ひろう)から熱病にかかってしまいました。高熱と寒さと飢(う)えにさらされながらも、ふとんもなく米俵(こめだわら)にもぐつて苦しみ、40日間も病気がなおりませんでした。


 厳(きび)しかった下北(しもきた)の冬もやがて峠(とうげ)を越し、田名部川(たなぶがわ)の氷も少しずつゆるみはじめました。ある日一人の猟師(りょうし)が、氷の張った川の上で遊んでいた犬を射(う)ち殺しました。だが、氷がうすくなって危険であったため、あきらめてそのままにして帰ってしまいました。背に腹はかえられず、柴家では、その犬を飼主(かいぬし)からもらいうけて、主食のたしにすることになりました。その日から、来る日も来る日も犬の肉の食事でした。はじめはうまいとも感じましたが、塩で煮ただけで味もなかったので、とてもながく食べられるものではありませんでした。ついにのどが通らず、ロに入れただけで吐気(はきけ)をもよおすまでになりました。


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