すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -138/197page
通学できることになりました。兄の友人の家に住み込んで、その家の手伝いをしながら学校に通うわけです。
旧会津藩士たちは、斗南(となみ)領に移住してから、その日の食事にも困り、乞食(こじき)のような生活をしながらも、子供の教育には、何をさしおいても当る情熱を失いませんでした。田名部村にある円通寺(えんつうじ)に藩校としての日新館を開き、なお各地にその分校をつくり、藩士の子供は誰でもが学べるようにしたのです。
五郎は、以前は田名部村の日新館に通っていたのでしたが、落(おとし)の沢に来てからは通学をあきらめていました。今度、五三郎兄が来てくれたので、父も兄嫁(あによめ)も五郎の復学(ふくがく)をすすめていたのでした。
「ありがとうございます。五郎は一生けん命勉強して、かならずご恩に報(むく)い ます。」
五郎は、家族の人にも、自分にも誓(ちか)う気特ちでそう言いました。