すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -145/197page
京を歩きまわりました。つてを求めて、行く先き先きでことわられました。みんな苦しかったのです。(学問をしたい)という思いでしゃにむに出てきた東京でしたが、おちつく家もみつからないありさまでした。
またまたあちこちの家を転々としながらの、みじめな下僕(げぼく)生活に困りはてていました。
秋も深まったある日、思いあまって野田豁道(のだひろみち)をたずねてみました。そのとき、
「近いうちに、陸軍幼年生徒隊(のちの陸軍幼年学校)の入学試験があるから、受けてみてはどうか。」
と野田は言いました。この一言(ひとこと)が五郎の運命をかえることになります。
「軍人になることは、武士の子である君にとって、不服ではないと思うが。」
この話を聞いて、五郎はとびあがらんばかりによろこびました。学費が国から支給されることと、なによりも将来への見通しがもてたことが嬉(うれ)しかったので、