すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -163/197page
しれない。そこで、二人はお寺の小姓(こしょう)に変装(へんそう)してお坊さんにしたがった。明治元(がん)年(1868)十一月十三日、雪がしんしんと降る夜の十時ごろ、人目(ひとめ)につかないようにひそかに旅立った。
新潟までの途中、何度も、薩摩(さつま)や長州(ちょうしゅう)の兵隊に呼びとめられ取り調べを受けた。ことに、会津藩の武士は、戦争に敗(やぶ)れて髪(かみ)を切っていたので、マゲを結(ゆ)うことができなかった。だから、マゲを結っていないのは、会津の武士ではないかと怪(あや)しまれたのである。二人はようやく伸びか