すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -165/197page
なった。奥平(おくだいら)は、二人のために、すぐれた学者を先生として世話してくれた。こうして、二人の少年は一心不乱(いっしんふらん)に勉学にはげんだ。
ところが、ここも二人にとって安心できる土地ではなくなってきた。会津をぬけ出してきた二人の武士がいるといううわさが広まり、奥平もかくしとおすことができなくなったからである。二人は越後(えちご)(今の新潟県新発田(しばた)市)にある奥平の知人の家にかくまわれた。この家には、土蔵(どぞう)にぎっしり、中国や古い日本の本があった。二人は自由に読書をすることを許された。健次郎は名前を斯波誠(しばまこと)、小川は川島譲蔵(じょうぞう)と変えていた。
翌(よく)年八月、奥平謙輔(けんすけ)が東京に出ることになったので、二人もこれにしたがって東京に住むことになった。しかし、まもなく奥平は役人をやめて故郷(こきょう)の長州へ帰ることになり、とうとう別れなければならなくなった。出発に際して、奥平は二人に、