すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -166/197page
「これからもくじけずにいっしょうけんめい勉強しなさい。お前たちはもう一度越後(えちご)へ行きなさい。わたしがよく頼んでおいたから安心しなさい。くれぐれもしっかりやるがよい。」
と、よくよく言い聞かせた。会津を出てからずっと世話になった人と、別れなければならないと思うと、健次郎の胸には、ぐっと熱いものがこみ上げてきた。いっしょに、長州までついて行きたいとも思ったが、どうにもならなかった。二人は、東海道を行く恩人(おんじん)奥平(おくだいら)を、品川の宿場(しゅくば)まで見送って別れをおしんだ。
再び越後での生活をはじめて、しばらくたったある日、二人のところへ、会津藩から手紙がきて、
「会津藩でも、東京で、子どもたちに学問を教えることになった。すぐ東京に来い。」
と書いてあった。二人はとび上がって喜んだ。さっそく、仕度(したく)を整(ととの)え上京した。