すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -170/197page
っと程度の高い学問を教える塾(じゅく)(学校)は、東京にいくつかあったが、貧乏(びんぼう)のどん底にいる健次郎が、そんな塾にはいれるはずもなかった。
科学にめざめる
このようにして勉強に励(はげ)んでいたある日、健次郎は先生に呼び出された。
「山川。先ほど政府から使いが来て、お前が海外留(りゅう)学生に選ばれたから、明日役所へ来るようにとのことだ。大へんめでたい。すぐ仕度(したく)にとりかかりなさい。何でも、北海道開拓(かいたく)のために勉強させるということだ。この機会にいっしょうけんめい学問に励みなさい。」
健次郎は、この降ってわいたような話に驚いた。
「はい、カの限りがんばります。」