すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -172/197page
「この船は、今晩おそくか明日の夜明けに、アメリカから日本に向って行く汽船にであいます。日本に手紙を出したい人は、用意しておいてください。」
という連絡(れんらく)があった。この広い太平洋の真中で、東と西に向って走る二隻(せき)の船が、きちんと出会うものだろうか。でたらめを、言って喜ばせているのではないか。健次郎は心の中で疑問に思いながら、それでも手紙を書いて頼んでおいた。すると、夜中の三時ごろ二つの船がぴたつと出会い、お互いに汽笛(きてき)を鳴らしながら、二百