すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -176/197page

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ってしまう。どんなことをしても、科学の研究を続けて、日本のために尽(つ)くしたいという決心はかたかった。それにしても、日本からのお金の仕送(しおく)りがなかったら、どうして、大学で勉強が続けられようか。もう絶体絶命(ぜったいぜつめい)だった。健次郎の困りはてているようすを見かねた、アメリカの友人が、

「山川、ぼくに金持ちのおばさんがいるよ。その人に君のことを頼んでみよう。君のような学問に熱心な人を、おばさんがだまって見逃(の)がすわけがない。きっといい返事がもらえると思うよ。」

健次郎は、それこそ『おぼれる者は藁(わら)をもつかむ』気持ちであった。

「ありがとう。どうかよろしく頼む。」

友人を拝(おが)むような気持ちでそう言った。二、三日して友人が、

「おばのバンドマン夫人が、君に会ってくれるそうだ。ぼくが案内するから、これからすぐに出かけよう。」


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