すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -179/197page
の歳月(さいげつ)が過ぎていた。思えば長い年月(ねんげつ)だった。白虎隊をはずされた少年健次郎は、今や最新の科学を学ぶ、立派な青年科学者に成長した。強い意志と、あくまでも自分の目的を達成しようとする実行カは、少年時代に日新館で学んだ、『ならぬことはならぬ』の精神がつくり上げたものだったにちがいない。
おわりに
アメリカから帰った翌年、健次郎は、東京開成学校で若者の教育にあたることになった。そして、明治二十一年(1888)日本ではじめて理学博士(はくし)の称号(しょうごう)をうけた。三十五歳のときである。
生徒への教育は、熱をおび、カがあふれていた。また、時間を正確に守ることについては、当時有名であったし、声が大きく、背が高くやせていて、その