すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -003/203page

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遊びのなかまにいれてもらえないし、悪口(わるぐち)をいわれ、からかわれるくやしさから、ぼくは、学校がいやになり、ずる休みをしたことがありました。これを知った母は、うす明(あ)かりのいろりのそばで

「左手は不自由だけど、右手が使えるじゃないの、足があり歩くこともできるし、一番大切な頭があり、勉強ができるじゃないの、どんなに貧しくとも、学問で負けないようにしなければ。」

と、目に涙(なみだ)をいっぱいためて、言われました。

自分の心の弱さに気づき、勉強だけは負けないぞとがんばりました。しかし小学校を卒業しても上の学校には行かれません。お金がないからです。家は貧しくて借金(しゃっきん)もある。左手が不自由だ。百姓(ひゃくしょう)の仕事はうまくできそうもない。考えれば考えるほど、不安になってくる。この左手の指さえ動けば、この左手の指さえ動けばとかたまった指を一本一本切りはなそうと思い、小刀(こがたな)を取り出


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