すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -004/203page
し、指のつけ根をつきさそうとしましたが、それもできませんでした。
今では、「てんぼう」とは言われなくなりましたが、村人のぼくを見る眼は、かたわ者を見る冷(つめ)たいあわれみの眼です。この左手をどんなにかくしても、手首のかたまりは、なおりません。この左手があるがぎり、貧乏(びんぼう)とかたわの名は消えません。大人(おとな)になっても百姓(ひゃくしょう)はできず、また、ほかの仕事もできず、これから先、どうしたらよいか、考えると世の中がまっ暗になってしまいます。