すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -008/203page
ただれていました。シカには、どうしようもありません。お医者さんはいないし、いい薬もありません。ただ、観音様(かんのんさま)におすがりするしかありませんでした。
シカは、自分の責任で清作がやけどになり、かたわになったのだと心からわびて
「清作や、おまえは大きくなっても、カ仕事や百姓はできない。だから、学問をして、右手だけでもできる仕事をしなければならないんだよ。そのためかあさんは、もっともっと働くからね。」
と、強い決心を語っていました。
清作は、八歳になって三(み)ッ和(わ)小学校に入学しました。学校は、清作の家の真向(まむか)いにあり、すぐ近くなのに学校に行くのをいやがりました。清作は、からかわれるすりこぎ棒のような左手を見ると、村中の子供が集まる学校に行くのがいやになるのです。