すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -028/203page

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老(お)いやつれた母の写真を見て、前にきていた母の手紙を読みかえしました。

『おまイ(い)の。しせ(出世)にわ。みなたまけ(げ)ました。わたくしもよろこんでを(お)りまする。……はるになるト(と)みなほかいド(北海道)に。いて(行って)しまいます。わたくしもこころぼそくありまする。ドカ(どうか)はやく。きてくだされ。………はやくきてくだされ、いしょ(一生)のたのみて(で)。ありまする。にしさむいてわ(は)。おかみ(がみ)ひか(が)しさむいてわ(は)おか(が)み。しております。………………。」

英世は、母の写真と手紙を前にして、頭を下(さ)げ、

「わたしは、母の苦労によってはげまされ、母の愛によって勇気づけられました。だから、今日(こんにち)の野口英世があるのです。」

と、自分の親不幸(おやふこう)をわび、今は研究のことをすべて忘れて、母のもとに帰る決意をしました。

十五年ぶりに、日本に帰った英世は、すぐに、三城潟の母のもとにいきまし


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