すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -045/203page
村では、十五歳になると、もう一人前の農民としてあつかわれるようになります。吉十郎も、十五歳になるころには、自分の勉強だけでなく、父をたすけて、百姓仕事(ひゃくしょうしごと)も、だんだん身についてきました。
正月のある日、吉十郎の家に、村の人たちが集ってきました。村では、毎年寄合(よりあい)を開いて、村の係や約束をきめたり、年貢(ねんぐ)のこと、堤防(ていぼう)つくりのことなどいろいろ相談してきめてきました。相談がほぼまとまったころ、帰りかける村の人をおさえて、吉十郎の父が、こう言いました。
「みなさん、今年から、私の代わりとして、吉十郎に肝煎(きもいり)の職をつとめさせることになりました。お役所に、お願いをしてきたのですが、ようやく許しがきました。まだ若いので、みなさん、よろしくたのみます。」
父は、からだが弱かったのです。村の人たちは、話が突然のことなので、驚いたようすでしたが、