すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -046/203page
「吉十郎さんなら、心配ない。」
「何をさせても、若いに似(に)あわず、しっかりしてるからなあ。」
と、こぞって賛成(さんせい)してくれました。
十五歳になったばかりの吉十郎にとって、これは、たいへんな役目でした。肝煎(きもいり)というのは、村の責任者です。ほかの農民とちがって、苗字(みょうじ)を名のることや刀をさすことが許されるのですが、一方では、村ぜんたいの年貢を納める責任もあり、村をひっぱっていくかしらでもあるのです。
吉十郎は、新城寺(しんじょうじ)の和尚(おしょう)さんに、あいさつに行きました。
「新年、おめでとうございます。」
「やあ、おめでとう。」
和尚さんは、昔から吉十郎が、大のお気に入りでした。
「和尚さん、この度、親の代わりに、私が肝煎の役をつとめることになりま