すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -059/203page
うえました。天気のよい日をねらって、葉の上から小便をかけてみました。
すると、小便をかけた苗の方が、かけなかった苗より、色もこくなり、勢いもよくなりました。阿波(あわ)の農民の言ったことは、ほんとうだったのです。
与次右衛門は、ナスのこやしに小便がよいならば、ほかの作物(さくもつ)にはどうだろうと考えました。与次右衛門の考えは、一つのところにとまっていません。ウリ、大根、白菜(はくさい)、ニンジン、ゴボウなどにもためしてみました。こやしをかける場所も、葉にかけたり、くきにかけたり、苗と苗の間に穴(あな)をあけて流しこんだり、……いろいろとためしてみました。こうしてためしてみた作物は、三十数種類にもなりました。
与次右衛門は、ためしてみたり、観察したりした結果を記録しておき、次の年になると、それを役立てていきました。こうしたやり方は、現代の進んだ科学でとりあつかうような、実験的(じっけんてき)な方法をとり入れたやり方をしていました。