すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -060/203page
『会津農書(あいづのうしょ)』の完成
与次右衛門が、自分で調べたことや、ためしたことを、帳面に書きとめるようになってから、十数年がたちました。書きとめた帳面は、何さつにもなりました。与次右衛門の胸の中に、いつしか、大きな夢がふくらんできました。
ある日、与次右衛門は、その帳面をふろしきにつつんで、新城寺(しんじょうじ)の和尚(おしょう)さんをたずねました。
「和尚さん、相談があって来ました。」
「こまりごとかね〕
「いや、私も、肝煎(きもいり)として村のことを考えながら、しごとをしてきましたが、いま、ぜひやっておきたいことがあるのです。」