すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -068/203page
門は、ぼんやりと考えこんでしまいました。自分は、わかりやすく書いたつもりだが、あの本を何人の人が読んでくれるだろうか。あの本を読んで、これからの農業に、役立ててくれる村の人は、何人いるだろうか。新しい疑問(ぎもん)がわいてきました。外はしんとして、月がぼんやりかすんでいました。
『会津歌農書(うたのうしょ)』
それから何年かがたちました。肝煎(きもいり)のしごとを養子(ようし)にゆずった与次右衛門(よじえもん)は『会津農書』のつづきとして、月々の農作業(のうさぎょう)のうつりかわりを、くわしく書き始めました。与次右衛門の研究は、まだつづけられていたのです。
そんなある日、与次右衛門をたずねてきた人がいました。
「お願いがあってきたのですが、あなたの 『会津農書』は、すばらしい内容