すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -069/203page

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だと思います。でも、私の村の人々は、文が長いので、なかなかおぼえられない。おぼえやすいように、歌にでもしてくれたら、といっているのです。」

「そうですか。いいことを聞かせてくださいました。でも、私は、歌の勉強はしたことがありません。だれか、歌のつくれる人に……。」

「いや、これは、あなたでなければだめです。せっかく、すばらしいことを研究されたあなたに、ぜひお願いしたいと思って、たずねてきたのです。」

その人が帰ってから、与次右衛門は、やはり自分がやるべきだ、と思いました。すでに七十歳になった与次右衛門でしたが、自分の経験を、たくさんの農民に役立ててもらうために、歌によみこもうと決心しました。『会津農書』の内容だけでなく、その後、調べたこと、ためしたこと、聞いたことなどを、歌にして、人々に役立ててもらおうと思いました。

それからは、歌を作る毎日が始まりました。朝起きて寝床(ねどこ)の中で、田や畑で


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