すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -078/203page
「人々の暮らしもこまるだろうな。農民だけではない。年貢がとれなくなれば、武士の生活もこまる。」
「西郷(さいごう)どの、先ほどからだまっておられるが、何かお考えでもおありかな。」
だまって先輩の家老の話を聞いていた西郷頼母(さいごうたのも)(戊辰(ぼしん)戦争のときの西郷頼母の父)は、腕組(うでぐ)みをときながら、
「考えというほど、まだまとまっていないのですが、湯川(ゆがわ)から城下の町中にひいている『かりがね堰(ぜき)』の水を、もっとたくさん城中にひき入れるしかないと思うのです。ただ、どのくらいひけるか、また、その影響(えいきょう)はどうなるのか、それがまだわからないので調べさせております。だから、今しばらく待っていただきたいのです。」
「それは、だれに調べさせておられるのかな。」
藩の命令ではなく、個人的に調べさせていたことなので、その名を言ってい