すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -079/203page
いものか、頼母はちょっと考えたのですが、
「佐藤豊助(さとうとよすけ)。」
と、言いますと、
「ああ、あの計算好きの男か。」
二人の家老の顔に、ようやく明るさがうかんできました。
佐藤豊助は、寛政(かんせい)五年(1793年)会津若松に生まれました。父は身分の低い武士でしたが、農民や町人の上に立つ武士は学問をしなければならないという考えから、幼い豊助を近くの塾(じゅく)で学ばせていました。
しかし、豊助は、塾の勉強よりも、家でこつこつとひとりで学ぶことを好みました。何をやっているかとみると、豊助はいつもいろいろな計算問題をといているのでした。
「お前は計算などばかりしているが、それではりっぱな武士になれないぞ。」