すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -080/203page
もっと本を読め。本には昔の人のりっぱな教えが書いてある。そのりっぱな考えを身につけてこそ、りっぱな武士となれるのだ。計算などは商人のすることだ。商人のように金もうけをするなど、武士の恥(はじ)だ。武士は、たとえ暮らしは貧(まず)しくとも、りっぱな考えをもって国を治めなければならない。そのためにはもっと本を読みなさい。」
豊助の将来を心配した父は、何度も豊助を呼んで注意しました。しかし、豊助はそうは考えません。
「武士が国のためにつくすのはいいが、人と同じことをやっていてはだめだ。人のやらないこと、人ができないことをやって、国のためにつくすことも大切ではないのだろうか。」
人のやらない方法で身を立てる。……これが豊助の考えでした。
豊助の計算は、簡単なものから、だんだんむずかしいものへと進んでいきま