すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -084/203page
若松の城下に、もっと多くの水をひくにはどうしたらよいか、調べよというのだ。
豊助は、それ以上を語らず、口をつぐんで遠くの空を見つめています。頼母(たのも)のやしきで家老(かろう)から直接聞いたことばが、まだ豊助の心にひびいているようでした。
「今まであちこちの用水路づくりや、川の堤防(ていぼう)づくりをしてきた者たちはいる。しかし、今度のことは、その程度の経験では問に合わない大工事だ。人の話では、お前はこれまで二十年の間に、あちこちの用水路や堤防の改修の仕事にあたってきたということではないか。それだけでなく、いろいろな計算や測量(そくりょう)のわざにもすぐれているそうではないか。時間もあまりないことなので、ぜひお前の力をかりたいのだ。」
れんは、夫の自信にみちた目を見あげて、身のひきしまる思いがしました。