すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -090/203page
洞門(どうもん)を掘りぬくなどということができるのか、お金がかかりすぎるではないか、こんな大工事をすれば農民が苦しくなるのではないか、……いろいろな反対意見が出されましました。
家老たちの言うことをだまって聞いていた豊助は、きっぱりと顔をあげて、熱心に自分の考えをのべました。
「水不足をなくすには、猪苗代湖の水を使うしかありません。この計画はたしかに大事業で難工事(なんこうじ)です。多くの人手(ひとで)を必要とします。しかし、今これをやっておかなければ、いつできるかわかりません。農民たちもきっとわかってくれます。八田野(はったの)の宗吉(そうきち)や北滝沢(きたたきざわ)の伊喜右衛門(いきえもん)など、農民の指導者たちからも、ぜひ完成させてほしいと強い希望も出されています。どうか、この計画をとりあげてください。」
家老たちも豊助の真剣さに、だんだんと心を動かされてきました。