すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -092/203page

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「私は、今度の調査で、八田野や北滝沢だけでなく、たくさんの村でたくさんの人々と話した。その人たちは、みなこの用水に期待をいだいている。農民にとって、水はいのちの次に大切なものだ。だから、この仕事がいかに大切かが身にしみてわかった。同時にこれがお城のためにもなる。こんなすばらしい仕事ができる私は、本当にしあわせ者だ。」

聞いているれんの耳には、夫(おっと)のことばが水のしみこむように入ってきます。れんは、自分もしあわせだなあ、と思いました。

「私は若いころから、他人のやらない計算を自分のためにやってきた。人のできない計算をできる喜びを感じてきた。それが得意だった。しかし、今はちがう。自分が得(とく)をするとか損(そん)をするかではない。私の身につけた計算の力は、もっと大きなもののために使わなければならない。私の肩(かた)には、今、多くの人の運命がかかっているような気がするのだ。」


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