すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -100/203page

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んだかと思うと、またくもって、軒先(のきさき)の庭石に雪どけのしずくのたれる音が聞こえます。

 「のう豊助、自然のカはおそろしいものだなあ。お前がじゅうぶんに計算した強さを、自然はみごとに破ったのだ。今度はお前がその自然のカをはね返す番だ。お前はいつか、この用水路は今作らなければいつできるかわからない、とわしに言うたことがあったな。そうなのだ。今、この用水路はどうしても必要なのだ。しかも、これから何百年もの自然のカにたえる用水路を作らなければならない。だから、お前は死ぬことはならぬ。自然はお前をためしたのかもしれぬ。」

 聞いている豊助は恥(は)ずかしくなりました。自分ひとりの気特ちにこだわっている、自分のせまい心が恥ずかしくなりました。この用水路にかけられている、何百年も先までの藩と農民の期待が、身にしみてわかってきました。


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