すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -109/203page
のみをほおり出した人夫たちは、夢中になって両手で石や土をかき出しました。
穴の向こうにぼうっと明かりが見え、向こう側の人夫のまっ黒な顔が見えたと思うと、明かりも人夫もだんだんかすんできました。豊助は泣いていたのです。おさえようとしても、涙が後から後から出てきました。
「佐藤さま、ようやく―。」
うしろから伊喜右衛門(いきえもん)が泣き声と共に手をさし出しました。
「ありがとう。」
あとはことばにならないまま、豊助も伊喜右衛門の手をにぎりしめました。
かげの功労者(こうろうしゃ)
新しい戸のロ用水路の完成によって豊助の名は高まり、次から次へと仕事を