すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -122/203page
りもなくまっ暗でした。道の左がわを流れる戸石川(といしがわ)の音が、さらさらと聞こえるだけで、うすきみ悪く、反対がわの林の中には、ときどき、きつねの姿もみられました。
雨や雪の日などは、何度も夜学(やがく)をやめようかと思いましたが、勉強の好きな伊策は、とうとうやめずにがんばりつづけました。
夜学に通って勉強をしていたある日、こんなことがありました。
朝ごはんを食べているとき、父が、弥五島(やごしま)へ行く近道を作ったお坊さんの話をしてくれました。
「昔、弥五島に行くには、大川ぞいの岩場(いわば)を通らずに遠まわりしていた。それを越後(えちご)から来た比戸(ひと)というお坊さんが、みんなに頼まれて、岩を掘り、ようやく岩場の道を作ってくれたのだ。道の途中にガマ岩とよばれるイボガエルみたいな大きな岩があるが、あんな所によく道がつくれたものだ。それか