すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -126/203page
きました。見あげると、雲をおしのけて、十五夜の月が地上を照らしはじめていました。
「十五夜さん、ありがとう。」
伊策は、夢の中でこう言ったかと思うと、ふたたび深い眠りにはいっていきました。こんなことを経験しながち、伊策の、昼間(ひるま)働き、夜は夜学(やがく)に通う生活は続けられました。伊策は、一生を通じて小学校を出ただけでしたが、1人でこつこつと勉強を続けていったのです。
珠算の道、教育の道
伊策(いさく)が、初めてそろばんを手にしたのは、小学校3年生のころでした。