すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -127/203page

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 「どうだ、伊策。そろそろお前も、そろばんをやってみるか。」

 兄に声をかけられた伊策は、自分も1人前に認(みと)めてもらえたような喜びを感じました。

 「お前も知っているだろうが、わが家は昔から名主(なぬし)のうちでも、そろばんの仕事をうけもってきている。土地の広さや、米のとれぐあい、年貢(ねんぐ)の割合などの計算を仕事としてきたのだ。だから、祖父も父も、私もそろばんを手離したことはない。お前もこの家の1人として、そろばんをやってみないか。私が教えてやるから、どうだ、やってみるか。」

 そのころの小学校は、江戸時代の寺子屋のつづきで、勉強することは、「読み書き・そろばん」 といわれていました。伊策は、学校で習ったそろばんよりも、兄に教えてもらった方が強く印象(いんしょう)に残っていました。それだけ、兄の教え方はきびしく、後の伊策の役に立つそろばんだったのです。


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