すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -142/203page
しかし、伊策の考えにすぐこたえてくれる人はなかなか現れませんでした。道はまだ遠いようです。それどころか、伊策が自分の考えをのべようとすると、ぷいと横をむいてしまう人もいました。ある集りでは、伊策の目の前で、伊策の悪ロ(わるくち)をいう人さえいました。
しかし、伊策はもう負けていません。伊策には、ほかの人には見えない、もう1歩先の道が見えているのです。その道を開くには、どうしたらよいのだろうか―。
伊策は、問題は国で発行している教科書にのっている珠算のやり方を変えることにあるような気がしてきました。教科書が、昔のままの割り算九九を使っているから、人々は自分の考えを変えないのではなかろうか、と思うようになりました。
伊策は、何回となく、文部省に手紙を書きました。珠算の教科書に、自分の