すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -143/203page

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新しい考えをとり入れてくれるように、とお願いしました。今までのやり方と自分の考えた新しい教え方とどうちがうのか、どんなすぐれたところがあるのかなどを、実際に行ってみた結果を書き加えて、くわしく説明したのです。

 しばらくしてとどいた文部省からの返事は、今までの方法がよいというだけで、伊策の考えはとり入れてもらえませんでした。

 伊策はその返事を読んで、手紙では自分の本当の考えは伝えられない、直接文部省に行って説明すれば、わかってもらえるかもしれない、と思うのでした。

 新しい珠算を広めるには、学校の先生の片手間(かたてま)の仕事ではできない、と伊策は考えました。珠算の研究と、新しい珠算のために、自分のこれからの人生をかけてみよう、と、伊策は約30年間の先生の生活を、きっぱりとやめることにしました。

 伊策が初めて文部省にお願いに行ったのは、昭和2年(1927年) の4月


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