すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -156/203page
<自分にかつ、なんて自分とけんかすることなのかな。でも、自分が自分とけんかするなんて、すこし変だな。>
と、四郎は思ったのですが、思わず、
「はい、わかります。」
と言ってしまいました。
「そうか。わかるか。でも、これはむずかしいぞ。相手とけんかしたがっている自分の心を、自分でおさえつけるのだ。相手と戦う前に自分と戦って、自分にかつ。どうだ、約束できるかな。」
ことばはやさしいけれども、背ぼねをきちんとのばしてすわっているおじいさんの、するどい目を見ていると、四郎はそれにさからうことはできませんでした。
<そうだ、おれは、あのおじいさんの目と約束したんだ。おじいさんの目は、