すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -157/203page
何でも見とおしてしまう。おじいさんの目は、うそも見ぬいてしまう。だから、おれはけんかをしないんだ。自分にかつ、このことばを忘れてはいけない。>
からだは小さいくせに、子どもたちの先頭を歩く四郎は、どうどうとしていました。
子どもたちの住んでいる角島(つのしま)の部落へ入るまがりかどに来たとき、四郎は、ふと立ちどまってふりむきました。
「なあ、みんな。おれが今、どんなことを練習しているか、わかるかい。」
ふしぎそうな顔をしている友だちの前で、四郎は道ばたの木に、するするとのぼりました。やがて、とちゅうの太い枝にとりついた四郎は、下で見あげている友だちにさけびました。
「いま、そこにとびおりるけど、そのおり方をよく見ていろよ。」