すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -171/203page
つける。自分にかつことができれば、そこにしぜんと柔道の道が開かれてくるものなのだ。」
四郎はびっくりしました。嘉納のいう 「自分にかつ」 ということばは、四郎がおじいさんと約束したことばだったのです。
「柔道は、ただ相手をたおすだけの、手先(てさき)の技術ではない。術ではなく人間の生きる道である講道館の柔道は、柔道を通して自分にかつための強い心を育てていくのだ。つめたいとか、つらいとかいう自分の弱い心を、自分でおさえることができなければ、人間はいつも弱いままで終わってしまうのだ。それが、自分にかつ、ということさ。どうだ、四郎。強くなりたいか。」
「はい、先生。手もやっばり、つめたいけど、でも、おれは強くなりたいと思います。」
「アハハハ。つめたければ、つめたくてもいいんだ。だが、それをこらえて