すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -175/203page
表1名ずつがえらばれて争うことになりました。
講道館では、そのころ、富田常次郎(とみたつねじろう)、横山作次郎(よこやまさくじろう)、山下義韶(やましたよしあき)、西郷四郎の四人が四天王(してんのう)といわれていたので、その中からえらばれることになりました。
そして、嘉納治五郎(かのうじごろう)は、講道館の代表を西郷四郎ときめました。相手は、戸塚揚心流(とつかようしんりゅう)の照島太郎(てるしまたろう) ―――四郎は何回かその姿を見たことがあります。三十二歳。がっちりした大きなからだ、首(くび)も太く、いかにも柔術家らしいと思っていました。
「勝てるかな。」
心の中に不安な気特ちがおこります。
「いや、勝たねばならない。講道館のためにも、日本のこれからの柔道のためにも、おれは勝たねばならないのだ。」
そうは思うのですが、照島の姿を思いうかべると、何となく気特ちがあせっ