すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -176/203page
てきます。
「四郎、古くさいけんか柔術家どもに、ほんとうの柔道を教えてやれ。」
四天王や、まわりの人々のはげましのことばは、四郎の耳をかすめて、まわりを通り過ぎていくだけでした。
「勝てるかな。」
何となく、落ちつけない日が過ぎていって、とうとう試合の日がやってきました。
六月とはいえ、よく晴れた青空をあおぎながら会場へむかう四郎は、朝から汗(あせ)ばむほどてした。
いっしょに行こう、という他の門人たちのことばをことわって、四郎は、ひとりで歩いてでかけました。車坂(くるまざか)から上野広小路(うえのひろこうじ)へさしかかるころには、前の日までのあせりは消えていました。まわりの町並(まちな)みを、ながめながら歩く心の