すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -178/203page
思いだしました。青くすみきった空に、羽ばたきの音を残しながら、鳩(はと)の群(む)れが皇居(こうきょ)の方にとんでいきました。
会場は、広い道場の中央に、すがすがしい青だたみが、三十じょうほどしかれていました。熱気がむんむんこもっていて、広さを感じさせないほどでした。
試合前の、いろいろな行事が進められるうちに、その熱気は、ますます高まって最高潮(さいこうちょう)になったとき、西郷四郎と照島(てるしま)太郎の名がよびあげられました。
身長188センチ、体重80キロの照島とむきあって立つ四郎は、身長155センチ、体重50キロ――――大きな熊(くま)に立ち向かう小人(こびと)のように見えます。
立ちあがった二人は、すぐには組みつこうとしません。おたがいに、相手をにらみつけながら、じりっじりっと、右にまわりこもうとします。目と目、心と心のたたかいです。
「ええいっ。」