すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -180/203page
ました。ところが、四郎のからだは、ゴムまりのように丸くなったと思うと、道場の中央に音もなく降り立ちました。
はりつめたような場内のきんちょうがゆるんで、観衆(かんしゅう)は驚きの声をあげました。ねこのような、身軽(みがる)な四郎の動きに、おそろしさを感じたのは、照島でした。
どどっと、四郎に組みついた照島は、かけよったいきおいのまま、四郎のそでと帯(おび)をつかんで、かるがるとかかえあげ、頭の上にかついだかと思うと、道場のすみにむかって、ほうり投げました。
今度こそ、と照島は立ちあがって、ゴムまりのように、うなりをあげてとんでいく四郎のからだをみつめました。しかし、またしても、四郎は道場のすみに音もなく立って、たたかいをいどんできます。
何分たったでしょうか。照島の呼吸が、だんだん荒れてきます。気特ちをた