すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -185/203page

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 流点(りゅうてん)のように、一すじの帯(おび)となって眠ってみえました。住(す)まいから少し山をのぼると、自分と同じ名前の西郷寺(さいごうじ)という古いお寺があって、故郷(こきょう)でなくなった人々のことをなつかしく思い出させました。散歩のたびに、四郎にはいろいろな思い出がよみがえってきました。

「いろいろなことがあったな。」

 痛む足をさすりながら、四郎は、考えこむ日が多くなりました。

『山嵐(やまあらし)』 の技(わざ)で柔術をたおし、講道館柔道の基礎(きそ)をつくり、

――――向こう通るは、西郷四郎――――

と、歌にまでうたわれた四郎でしたが、嘉納治五郎(かのうじごろう)のるすの間に、不意(ふい)に、講道館からその姿を消してしまったのです。

 「おれは、ただの柔道家で終わりたくなかった。あのままでは、おれは何もできない人間として、かたまってしまいそうだった。だから、何かしたかっ


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